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教授挨拶

三

循環器内科 教授 

笹野 哲郎

東京医科歯科大学循環器内科教授の笹野と申します。東京医科歯科大学循環器内科が発足して20年になります。2001年、磯部光章教授のもと、それまでの旧第一内科、第二内科、第三内科の循環器グループを統合して新生循環器内科が誕生しました。その後、平尾見三教授のもとでさらに発展をとげ、有力な関連病院が20数カ所、教室員総数320名強の、日本でも有数の循環器内科教室へと発展して参りました。2019年6月より笹野が教室を主宰しております。

東京医科歯科大学循環器内科をご紹介します。臨床面では、本学は伝統的に不整脈診療に特色があります。全国で多くの施設がアブレーションを行う時代にあっても、大学および主要な関連病院を合わせると、我々のグループは日本のカテーテルアブレーション件数の約10%を占めています。カテーテルアブレーションやデバイス治療と言った非薬物療法、従来からの薬物療法ともに多くの実績と業績を残し、日本の不整脈診療・研究の発展に貢献してきた教室であると自負しています。また、虚血性心疾患に対してはOCTをはじめとする画像診断、冠血流の生理学的評価を元にした冠動脈インターベンションに特色があり、関連病院・大学病院共に救急治療・待機的治療で貢献しております。心不全に対しては、心臓血管外科との密な連携をもとにした重症心不全治療を行っており、近年需要が増している腫瘍循環器領域にも積極的に展開しています。上記に加え、伝統的に力を入れている難病治療として、高安動脈炎、心臓サルコイドーシスについても、全国トップレベルの症例数を持ち、我が国で先導的役割を果たしているといえます。また、画像診断クリニックとの連携をもとにしたMRI, CTによる画像診断にも力を入れています。
 研究面では、臨床に近い研究を進めているのが本学循環器内科の特徴です。教室内での基礎研究に加えて、本学の難治疾患研究所をはじめとした基礎研究部門との共同研究を行っておりますし、関連病院では多くの臨床研究を行い、世界に情報を発信しています。

これからの東京医科歯科大学循環器内科では、高い臨床能力はそのままに、よりトランスレーショナルな研究を発展させていくことを目標とします。私自身は、循環器内科医としてカテーテルアブレーションを中心とした診療経験の後、心房細動や心臓突然死の遺伝的メカニズムの解明・後天的メカニズムの分子生物学的な解析と、心臓突然死に対する遺伝子治療・心不全に対する細胞治療といった研究に従事してきました。その後、これらを発展させてバイオマーカー開発を中心としたトランスレーショナル研究、生体信号解析やモニタリングシステム開発、深層学習を用いた解析などを行ってきました。これらを生かし、臨床の場で出てくるクリニカル・クエスチョンに対して、基礎的・臨床的なアプローチによって問題を解決していくことがこれからの本学循環器内科の目標です。簡単なことではありませんが、臨床能力が高くリサーチマインドのある多くのスタッフがおり、十分実現可能と考えています。
 また、若い循環器内科医の教育も我々も大きなミッションの一つです。本学では多くの有力な関連病院との連携によって若い医局員の教育を行うシステムを備えています。大学病院での研修と、臨床・臨床研究の面で特色のある関連病院での研修を組み合わせることで、質の高い循環器内科医育成を行っていくと同時に、リサーチマインドのある、physician scientistの養成を行って参ります。

循環器診療は、近隣の施設との強固なネットワークなしには成り立ちません。大学病院でも、多くの御施設から患者様のご紹介を頂いており、また当院での急性期治療を終えた患者様の治療を継続して頂いています。研究面でも、多くの御施設・企業様と共同研究を進めています。日本の循環器診療の発展に力を尽くしますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。